京都の寺や伝統文化を切り口に、イベントの企画・運営を行う学生団体「てらふる京都」。その活動理念である「京都×お寺×ご縁×ワクワク×〇〇」というキーワードは、実際どのような活動として形になっているのか。清水焼やおばんざい、謎解きゲームといったユニークな企画の裏側から、オーバーツーリズムや後継者問題といった社会的な課題への向き合い方、そして代表様の想いまで、じっくりと話を伺った。
プロフィール

清水焼、おばんざい×和歌、お寺の謎解き――ユニーク企画の裏側

――「京都×お寺×ご縁×ワクワク×〇〇」というテーマで、実際にはどんな活動をされてきましたか?
てらふる京都:てらふる京都の活動を一言でまとめると、イベントを企画・運営して皆様に提供すること。そのイベントの中に、「京都×お寺×ご縁×ワクワク×〇〇」の要素をうまく組み込むようにしています。具体的なイベントを3つご紹介します。
① 清水焼イベント (昨秋実施) イベント参加者が、清水地域を実際に歩き、なぜこの地で陶芸が発展したのかを学び、工房を見学し、販売店で話を聞く企画。「観光客は記念に清水焼を買っても、その工芸品としての価値を深く知る機会は少ないのでは」という問題意識から生まれた。
② おばんざい×百人一首 京都には百人一首、和歌にゆかりの地が多い。「この料理はこの和歌からインスピレーションを受けて作りました」というストーリーを添えておばんざい料理を提供し、料理と和歌、両方の魅力を同時に届けた。
③ お寺での謎解きゲーム 歴史に沿った謎解きゲームを、お寺を舞台に楽しむ企画。
てらふる京都:一見関連性のないように見えるこれらの企画ですが、その理由は、てらふるが「メンバーが大きく入れ替わっていく団体」だからです。学生団体なので、社会人になれば身を引き、新しいメンバーが加わります。そして、その時々のメンバーの興味関心に応じて、4つの理念を軸に活動内容が自由に変わっていきます。「入ったらこれをやらなければいけない」という縛りはありません。
オーバーツーリズムとSNS 「発信→来訪→また発信」のループをつくる

――現地訪問はオーバーツーリズムにつながる一方、SNSで文化に触れる機会も増えています。文化継承の形が多様化する中、どう考えていますか?
てらふる京都:文化を実際に体験し、現地に行って触れることはやはりとても大事だと思います。一方で、歴史的な建物や文化を知るきっかけの多くはSNSや情報発信です。SNSで知って現地を訪れ、訪れた人がまた発信する。このループができれば、次世代への文化継承につながると考えています。
てらふる京都:オーバーツーリズムそのものについては、「人が多すぎること」自体が問題なのではなく、集まった大人数をうまく回しきれていないことが問題だと捉えています。例えばホテルの数が足りない、といったことです。大人数をいかに効率よく、快適に受け入れるかが重要なのではないでしょうか。
――SNS発信は「現地訪問へのループ」を意識したものですか?
てらふる京都:文化の情報発信ももちろんしていますが、それ以上に「てらふるという団体を知ってほしい」という思いが大きいです。文化コンテンツを発信しつつ、最後に「運営メンバーを募集しています」という一文を添える。文化の発信と団体への勧誘、両方を意識した投稿づくりをしています。
「団体活動そのものが文化継承になる」という発想

てらふるに参加して団体の魅力を知ってもらい、運営メンバーになってもらう。そしてメンバーがそれぞれの興味関心に応じて活動することで、文化継承の問題に貢献できるのではないか、それが根底にある考え方だ。
清水焼の工房取材では、後継者問題について直接聞いたわけではないものの、「職人さんには年配の方が多かった」という印象を受けたという。また、清水焼イベントを通して見えた課題として、イベント参加者には魅力を伝えられても、イベントに参加していない人々には届けられないというジレンマも語られた。文化をより多くの人に知ってもらうという面で、まだ課題は大きい。
次の新企画は「お寺×煩悩」
近年、座禅・写経・寺ヨガなど「お寺×心のケア」が国内外で注目されている。てらふる京都でも今年、新プロジェクト「お寺×煩悩」を企画中だ。
先輩から団体に寄贈された「煩悩カードゲーム」を活用し、お寺で自分自身の煩悩と向き合うイベントを構想している(現在企画段階)。
「自分なりの解釈で継承する」ということ
長野県出身で、大学進学を機に初めて関西へ来たというてらふる京都の張驪驕代表。「せっかく京都で4年間過ごすなら、寺や歴史を学べる団体がいい」と、1年生のときにてらふるへ加入した。
メンバーになれば京都について詳しくなれること、そして学んだことをどう発信するか考えることで、インプットをそのままアウトプットできる。それがてらふるの魅力だと語る。清水焼やおばんざい、百人一首などについても、最初から詳しかったわけではなく、他のメンバーの興味関心から始まったもの。それでも文化を学びたいという思いで参加したことで、自分の知識や興味関心が広がったという。
最後に、文化継承への想いをこう語ってくれた。
一人ひとりが一つの文化に触れたとき、その人が何を思ったか、それを大切にしてほしい。自分なりの解釈として文化を継承していくことが、大事なのではないかと感じています。
本記事は、学生団体「てらふる京都」メンバーへのインタビューをもとに構成しています。
てらふる京都では、一緒に活動する運営メンバーを随時募集中です。京都の文化やお寺に興味がある方は、ぜひSNSをチェックしてみてください。
